古文書を読むようになってから17年ほ
どが経過しました。当初は群馬県桐生市にある桐生古文書同好会に所属し、先輩たちのご指導の下で取り組み始めました。割り当ての頁を順に読むという輪読形式を採っており、私は入会して2、3回参加しただけで、無謀にも割り当ててもらいました。
もちろん、読めないので、先輩に事前に教わり、本番で読むようにしていましたが、これでは一向に読む力がアップしていきませんでした。このままではダメだと思い、同好会の折にテープで録音し、自宅で自力で読んでから、テープを聞いて答え合わせをする方法で勉強しました。すると、徐々にですが、比較的丁寧に(というかきちんと崩された)文字であれば、何とか読めるようになりました。この方法はお勧めです。
古文書を読むのに「書道をやっていた人は有利だ」ということを聞きます。私はそれを〝ある程度はそうだな〟ぐらいにしか思っていませんでした。その程度に考えていた理由は、実際に書道をやっていた方がメンバーにいたのですが、実際に御家流を読む力が特に優れていたわけではなかった事例を見ていたからでした。
しかし、最近はとみに「書道でかなを書いていた人は断然有利」と思う昨今です。ある所で古文書講座の講師をしていますが、亡くなられた前任の講師の方がくずし字を解読できる上にくずし字で手紙を書いていたという事実を知ったからです。
ここ近年、自身の解読力が頭打ちになっていました。打開策を模索していたのですが、(ああそうだ、自分がくずし字を書ければいいんだ)と思い至り、桐生市の天満宮骨董市で100円で購入した大正時代の手紙文例集(写真)で臨書を始めました。いずれは佐理や行成で臨書をしたいと思っています。
変体仮名を制するものは古文書を制す、という確信めいたものが私の中にあります。
「古文書を読めるようになるにはどんな勉強をすればいいのか」「早く読めるようになるには」と古文書初心者の方は考えがちですが、近道は決してありません。冒頭で示した作業を地道に繰り返せば、かなりのレベルまでには持っていけます。
しかし、単に難読の文字を読めるというベテランの域からさらに突き抜けるには、自身でくずし字を書けるようになるしかないというのが私の結論です。江戸時代、いや昭和初期ぐらいに20歳代だった方であれば、普通に読み書きしていた文字だからです。
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